皆さまの善意からいただいた献血を医療につなぎ、生命に関わる医薬品を安定的に届けることが、私たち日本血液製剤機構(JB)の使命です。JBは血液法が掲げる「日本国民が使用する血液製剤は国内の献血で賄う」という“国内自給”の理念を実現するために、2012年に設立された一般社団法人であり、将来にわたる安心・安全な血漿分画製剤の安定供給・国内自給を確立することを目標に活動を続けてまいりました。
JBが製造する血漿分画製剤は、日本の皆さまの献血を原料とする大変貴重な医薬品です。希少疾患とされる神経難病、重症感染症や危機的出血に対する止血などさまざまな治療に役立ち、患者さんの生命と健康を支える重要な役割を果たしています。私たちは皆さまからいただいた献血を一滴たりとも無駄にせずに、安心・安全な医薬品を製造し、患者さんのもとへ届ける“ブラッド・チェーン”の重要な役割を担っており、事業そのものが社会のサステナビリティの実現につながっています。
近年、血漿分画製剤の需要は、適応疾患の拡大や診断技術の向上、高齢化などを背景に急速に高まっています。こうした需要に応えるために、JBでは長期的な視点から、千歳・京都両工場で新たな製造棟の建設に着手し、生産能力の強化を進めているところです。
2025年度は、千歳工場において分画工程を集約した新設M1棟の本格稼働が始まりました。さらに京都工場ではフィブリノゲン製剤の精製工程および免疫グロブリン製剤の調合分注工程の基盤となる7号棟が竣工し、製造能力の大幅向上に向けた大きな一歩を踏み出しました。
2025年12月に開催した7号棟落成式では、患者団体の皆さまをはじめ、国会議員、行政機関や医学会など、血液製剤に関わる多くの皆さまにご列席をいただきました。皆さまから託された安定供給の確立への期待と信頼に応えるべく、私たちの使命を果たしていく想いを、一層強くいたしました。
さらに、内閣に設置された「日本成長戦略本部」の下で開催されている「日本成長戦略会議」が掲げる“戦略17分野”における「創薬・先端医療」で免疫グロブリン製剤の国内自給達成が重要課題に位置付けられました。官民の力を結集し、日本の健康医療安全保障の確保に貢献していく所存です。
私たちは国内最大の血漿分画製剤メーカーであり、血漿分画製剤の技術革新に向けた研究開発をリードする立場にあります。血液に含まれる血漿たん白は数千種類に及び、未だ多くの可能性が秘められています。研究開発本部では、血漿たん白の可能性を解明する基礎研究と、それを起点とした新薬開発、製剤改良を目指し、日々取り組んでいます。
また、JBのフィブリノゲン製剤においては、2022年3月に産科危機的出血に伴う止血を目的とした投与が保険適用され、2026年3月には、新たに心臓血管外科手術における出血に伴う止血を目的とした投与が保険適用されました。
皆さまからいただいた献血という「愛」を血漿分画製剤という「希望」に変えて、患者さんの健康や日本の医療の向上に寄与することがJBの事業の根幹です。JBの職員は、日本の医療インフラと生命の安全保障を支える高い使命感をもって自らの仕事に取り組んでいます。
サステナビリティの実現には、人を想い、社会を想う信念こそが、最大の原動力となります。これからもJBの基本理念である「善意と医療のかけ橋」を具現化し、広く皆さまのご意見に真摯に耳を傾けながら、国内自給の達成に向けて、職員とともに全力で取り組んでまいります。
一般社団法人
日本血液製剤機構 理事長
