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『善意と医療のかけ橋』を目指して

日本血液製剤機構(JB)は「血漿分画製剤」の国内自給達成への貢献と将来にわたる安心・安全な血漿分画製剤の安定供給を目指し、営利を目的としない一般社団法人として、日本赤十字社の血漿分画製剤部門と田辺三菱製薬株式会社の血漿分画製剤の製造販売会社である株式会社ベネシスを2012年に引き継ぎ、『善意と医療のかけ橋』を基本理念として事業を開始いたしました。

事業開始から10年が経ち、取り巻く環境は大きく変わりました。地球温暖化、経済・医療格差、人権など深刻な社会問題が世界中に山積しています。10周年を迎え、より広い視野から、血漿分画製剤事業と社会のサステナビリティ実現に貢献していこうと考え、カーボンニュートラルとSDGsを全社で推進する部門横断型のワーキンググループ体制を立ち上げ、2023年度の事業計画からSDGs達成に向けた具体的な目標を掲げました。たとえば本社では非化石再生可能エネルギー電力の使用、営業車両のエコカー導入、北海道(千歳市)・京都府(福知山市)の両工場においては廃棄物の削減、省エネ型設備の導入などを進め、2030年度にはCO2排出量について2013年度比で46%削減を目指します。

これまで工場を中心に行ってきた国際認証(ISO14001)に基づく環境保全活動のさらなる推進や、事業所ごとの地域貢献活動にも注力していきます。また、日本赤十字社ならびに国内の同業他社とパートナーシップを組み献血推進などの活動を行い、中長期的には、血漿分画製剤の製造収率を高める技術開発を進め、国内自給・安定供給をより一層推進していきたいと考えています。2022年度から世界血友病連盟(WFH)が取り組む治療機会に恵まれない国への人道支援プログラムに参加し、血友病Aの患者さんの治療に使用される血液凝固第Ⅷ因子製剤(献血血漿由来)の無償提供を、国内の安定供給最優先を前提としたうえで行い、WFHからアジア4か国(カンボジア、バングラデシュ、モンゴル、ネパール)に届けました。こうした取り組みは全て、人びとに健康と福祉を届けるという究極の目標実現につながっていくものです。

これから高齢化社会と同時に技術発展が進み、医療の無人化や遠隔診療などの形も普通のこととなることが予想されます。その時に患者さんがご自身で投与できる製剤や、温度管理などがしやすい製剤が必要になってきます。現在、血漿分画製剤に取って代わる薬はありません。だからこそ私たちは、きちんと製造設備を整え、安心・安全な製剤の安定供給を行い、永続的に事業を続けていくことが社会的な使命であると考えています。

私たちの事業は、善意・無償で提供される有限で貴重な献血血液によって支えられています。これからも患者さんや医療関係者との最善のパートナーを目指しつつ、革新に挑戦し、限りある資源からの血漿分画製剤の可能性を追求し、人びとの健康と血漿分画事業の発展に貢献してまいります。

理事長 石川隆英

一般社団法人
日本血液製剤機構 理事長

理事長 石川隆英

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