第9回 Where are you?感染巣が不明のとき
福井大学医学部附属病院 総合診療部 教授
林 寛之 先生
審J2501277(2025年3月更新)
急性の発熱の場合は、やはり感染症が原因となっていることが圧倒的に多い。その原因がウイルスであれば特殊な場合を除けばほぼ心配はないのだが、それが頑固な細菌感染だとこれはやっかい。患者さんが、どこが痛いのかを明確に言ってくれたらその原因も分かるようなものだけど、なかなか症状を訴えてくれないとなるとこちらから感染巣を見つけ出さなければならない。無口な感染症はいったいどこに?患者さんの身体に潜んでいる感染巣の手かがりを探ってみよう。

肺と尿路感染を探すのは基本の基本。X線に肺炎像が写らない肺炎だってある。CTを躊躇してはいけないことだってある。尿検査で安易に尿路検査を否定すると痛い目にあう。microabscessは間欠的にしか尿検査にひっかかってこない。CVA叩打痛があり、しつこい熱発があれば尿路感染を安易に否定しないでおきたい。
感染症では熱の高さがひとつの判断基準となるが、この熱の計り方にも気をつけてほしい。ありがちなのが腋窩温のみでの計測。腋窩温で体温を計ったら37.4℃だったのに直腸温は39℃だったなんてことだってあるんだから。精神科薬内服中の熱発をみた場合は、感染症のみならず、筋肉が硬くなる筋固縮が認められる場合は必ず悪性症候群の可能性を視野に入れたい。
