第17回 救急室での突然の悲報に対応できてこそ上級医
福井大学医学部附属病院 総合診療部 教授
林 寛之 先生
審J2501279(2025年3月更新)
「死」に対しての免疫なんて必要ない。
プロの医師こそ、患者さん一人ひとりの命、家族、そして他のスタッフの思いに寄り添い、真摯に向き合えるものだ。
人にとってたった一度にして最大の悲劇でもある死。いくら医療者である自分にとっては日常的な死だからといって、流れ作業的に人の死を扱う医師であってはならないと僕は思う。患者さんにとって一生を締めくくる「死」という瞬間を、その特別さを身に染みて感じながら家族に伝えることが、医師にとっての最大かつ重大な責務なのだ。とはいえ、共感的に受けた悲しみを必要以上に引きずるのもいけない。いったいどうすることで、死に直面した患者さんの家族や医師である自分、そして一緒に蘇生措置を行ったスタッフのストレスや不安を軽減することができるのか、その方法を探ってみようと思う。