審J2003397

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早期速効性治療戦略

村井 弘之 先生の写真
国際医療福祉大学医学部
神経内科 主任教授
村井 弘之 先生

わが国の重症筋無力症(MG)の診療ガイドラインでは、治療目標を「軽微症状以上、かつプレドニゾロン5mg/日以下」と定めています。ここでいう「軽微症状以上」とは日常生活に支障がないレベルのことです。

早期速効性治療戦略とは、早期に血漿交換(ステロイドパルスを加えてもよい)や免疫グロブリン投与(ステロイドパルスを加えてもよい)を行う治療法です。その後に症状が再度悪化すればこれを繰り返します。この早期速効性治療と従来のステロイド漸増漸減療法を比較してみると、早期速効性治療を選択した患者さんの方がはじめに述べた治療目標に、より高い確率で、より早く到達するということが明らかとなりました。すなわち、MGは早い段階で強力に病勢を抑え込むというのが有効な治療戦略であるということです。これだとステロイドの大量・長期投与による顔のむくみ、不眠なども経験せずにすみますし、患者さんの生活の質は大きくあがることが期待されます。

2017.11.01
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