風の音~輝く星たち~

私が血友病センター専従になる前

看護師になり入職後、小児病棟で働くようになりました。看護師になって数年目の土曜日の朝、夜勤を終え病院を出た時、遠くで自転車に乗る練習をしている男の子がいました。

必死に自転車のペダルをこいでいる男の子、自転車の後ろを支える当時の当院の血友病センター専従看護師の方。

小児看護に携わっていた当時の私は、あのように子どもの成長を見守れる看護師でいたいなと思いました。

前任の血友病センター専従看護師の方の退職後、後任として私が血友病センター専従看護師となりました。

その当時は、センターの看護師になるとは思ってもいませんでした。

私が新人看護師だった頃、当時の小児病棟では新人看護師の恒例行事として、血友病患者会のサマーキャンプに参加していました。

私も当時の上司と同僚と共に参加しました。

動き走り回る子どもたちを見ていて、「どの子が血友病の子で、どの子が病気じゃない子?」と先生方に聞かないとわかりませんでした。

まだ少ししか血友病について知らない頃でした。

血友病看護を学んでいきたいと思った時、再度キャンプに参加させてもらうようになりました。

参加する回数を重ねるにつれ、見えてくるものが少しずつありました。

自己注射をする勇気がなくて前に進めなかった子が、キャンプでお兄ちゃん世代の子が自己注射している姿を、医療室の扉から顔だけ覗かせてみつめ、「ぼくもやってみる」と一歩前に進めた子。

大人世代の患者さんが「親を責める気持ちが子どもの頃にはあった」という話を聞き、思春期の子どもが「自分自身が抱く気持ちは僕だけじゃなくて、他の人にもあって、ホッとするような気持ちになりました」とキャンプの参加者みんなの前で話した子。

そのような子どもたちの姿を見守る大人世代の患者さん。

動き回る保育園児くらいの年齢の子どもを心配しながら追いかける親御さん。参加する中で感じとるものがたくさんありました。


血友病センター専従になってから

血友病センターの専従看護師となり、世代によって抱える患者さんの問題は様々だと学びました。

十数年小児看護の場で働いてきたため、大人の患者さんから教えて頂くことはとても新鮮な体験でした。

血友病治療の進歩を患者さんの声・姿から学ぶものもあります。生まれた時から血友病とともに生きてきた患者さんのストーリーがそれぞれあり、短い外来受診時間の中で少しずつお聞きしながら、それぞれの患者さんについて学ばせてもらっています。

また、子どもたちからは、挑戦したいことを夢いっぱいで教えてもらい、挑戦できるように先生やご家族と治療環境を整えています。

治療についてや血友病治療の歴史などについては、書籍から学ぶこともできます。

ただ、患者さんが捉えている出血の感じ方や、これまでの体験、今後の生活についての思いや不安、夢や目標は聞かなければわかりません。

世代によって受けてきた血友病治療は異なります。

それにより病気や治療に対する思いは、患者さん個人の違いもありますが、世代で大きく異なることもあります。

どの世代の患者さんでも、患者さんが抱える思いの裏には患者さん・ご家族の歴史があります。治療は医師である先生の腕の見せ所ですが、患者さんの話を聞きながら生活に必要な知識や手段を指導したり支援を整えたりすることは、看護師の腕の見せ所と思います。

基本的なことですが、それぞれの患者さんにあった支援が出来るように、患者さんやご家族とお話をし、思いや考えを教えてもらいながら、今後も血友病看護に携わっていきたいなと思います。

(2023年Vol.75冬号)
審J2312196

柏原 やすみ 産業医科大学病院
看護部/血友病センター
看護師