Heart Hospital

はる内科クリニック院長 片山 春奈先生

患者さんとの信頼関係を軸に

先生が血友病の診断・治療に関わるようになったきっかけと時期を教えてください。

片山先生大学卒業時には血液内科でがん治療をメインに診ていました。その後結婚して東京に来ることになり、大学で血友病の診療にあたっていた先生に荻窪病院の血友病専門医の先生をご紹介いただき、2016年に入職しました。血友病の患者さんを診るようになったのはそれからです。

その後、ご自身のクリニックを開業されたのですね。

片山先生その後、出産を機に神奈川に移住を決めました。その頃には血液専門医の資格を持っていて、血友病診療を続けたいと思いましたが子どもも小さかったため、短時間でも働くことができる自分のクリニックを開業することを決めました。

現在の血友病患者さんの診療状況はいかがですか?

片山先生荻窪病院で神奈川から通われていた患者さんが3人ほど当院に移行されました。その後、周辺病院に通われている患者さんも何名か当院へ移行されて今は11人いらっしゃいます。全員血友病Aで中等症の方が1人いらっしゃるほかは重症です。横浜市を中心に神奈川県内などから通院されています。比較的若い年代が多く、20代から50代ですね。インヒビター歴がある方は1人もいらっしゃいません。幸い皆さん、病状は落ち着いています。

血友病診療の体制や特色などはいかがですか。

片山先生荻窪病院にいた時は専任の看護師やカウンセラーがいらっしゃってチームとして分担・協力して診療にあたっていましたが、ここではそうはいきません。ただ、看護師も知識がないと患者さんからの信頼が得られないので、最初は荻窪病院から専任の看護師に来ていただいて勉強会を開いたり、製薬会社が行う勉強会に一緒に参加したりして知識を深めてもらいました。

日々の診療で、スタッフ育成に気をつけていることはありますか。

片山先生診察に入る前に、輸注記録の確認や身長・体重測定、血圧測定など全身状態と、出血の有無の確認などを、あえて看護師にしてもらい私だけでなく他のスタッフとも話しやすい関係をつくるよう心がけています。ただ、患者さんには無理にコミュニケーションを取っていただかなくても大丈夫なようにしております。患者さんの様子を看護師がくみ取り、私が情報をもらうということもできますので。今では患者さんと看護師の間で信頼関係が築けていると感じています。

血友病の患者さんは、いつでも受診できるのですか。

片山先生基本的には開院時間内でしたら大丈夫です。何かあった時には連絡できるよう患者カードに私の連絡先なども記してお渡ししています。

地域の他院、他科と連携し、きめ細かな診療を

地域病院との連携はどのようにされていますか。

片山先生横浜市立大学附属病院や横浜南共済病院には、開業前にご挨拶にうかがって、出血時など緊急を要する場合に患者さんを受け入れていただけるようお願いしています。何かあったときに受け入れていただける状況であれば、患者さんにも安心していただけると思います。

関節症の検診などはどうされていますか。

片山先生定期的な確認が大事ですので、患者さんが特に症状を感じていなくても、半年から1年に1回程度レントゲンかエコーで関節の状態をチェックしています。出血した時はすぐにエコーで調べます。ただ、エコーではわからない所見もありますので、関節症が進行した患者さんは血友病の診療ができる整形外科の先生を紹介する場合もあります。

自己注射等の指導をされることはありますか。

片山先生当院に来られる患者さんは、皆さんすでに自己注射ができる方が多いです。そのほとんどが静脈注射をされていますが、加齢によって血管が硬くなるなどして静脈注射が難しくなる場合もありますので、針を刺している場所や失敗する頻度などは診察時に確認するようにしています。皮下注射に関してはやったことのない方がほとんどですので、その場合は動画を見ていただいてデモ機で練習し、まず1本打ってみるといったふうに、2・3回ぐらいは見守りながら導入しています。

製剤の選択はどうされていますか。

片山先生当院に移行された時にエコーや採血で評価して製剤の見直しを行いました。それまで標準型と半減期延長型を使われている方が混在していましたが、現在はほとんどが半減期延長型あるいは新薬に変えました。変更する場合は患者さんの意思を尊重するようにしています。新しい製剤がどのような製剤なのかと漠然とした不安を持つ方もいらっしゃいますので、患者さんのお仕事、活動量、体重の変化なども見ながら、安全性についても繰り返し説明し患者さんにとって最適な製剤をご提案しています。

採血などの評価は、日々の診療でどの程度行いますか。

片山先生最近は生活習慣病の患者さんがけっこう増えてきていますので、採血の結果からその確認と、あとインヒビターの確認、腎機能や肝機能などの全身状態をだいたい2・3カ月に1回ぐらいはチェックしています。運動不足などで体重が増えていつの間にか血糖値が上がっていたなども考えられますので、こまめにチェックした方がいいと思っています。

保因者診断や保因者健診等についてのお考えはいかがですか。

片山先生患者さんのなかには娘さんをもつ方が何人かいらっしゃいます。まだ小さいですが「月経が始まる前ぐらいに一応スクリーニング検査だけはしておいた方がいいんじゃないですか」というお話はしています。保因者本人への告知、時期については慎重に対応する必要があります。患者さんのお母さんも保因者ではないかと思われることがありますが、家族の問題に立ち入るのは慎重を要します。保因者と確定したときの精神的な負担もあるので、検査をするときには血友病専門医や心理カウンセラーがいる拠点病院等でしていただいたほうが良いと考えています。女性の場合、月経や出産でたいへんな出血をしてしまう場合もあるので製剤の投与が必要となるケースもあります。

今後、目指していきたい診療体制はありますか。

片山先生血友病診療は、新しい薬が出て治療の選択肢が広がっていますが、大切なのは患者さんの生活の質(QOL)を守ることです。これからも、地域の病院との連携を保ちつつ、患者さんが安心して「いつもの生活」を続けられるような医療を提供していきたいです。

(2026年5月記)
審J2608105

はる内科クリニック
院長 片山 春奈先生​
片山 春奈先生​
はる内科クリニック
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TEL:045-367-9925
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奈良県立医科大学名誉教授・前学長 吉岡 章先生からひとこと

片山先生は三重大学ご出身の血液内科医で、荻窪病院で血友病専門診療に従事された後、ご開業されています。豊富なご経験とお人柄のにじみ出たきめ細かく丁寧な外来診療をなさっています。市内の大学病院や整形外科との連携も密にされており、患者さんは安心ですね。