薬剤師のハートトーク

変わりつつある薬局の姿

皆さんは普段ご利用されている薬局をどうやって選びましたか?

「病院から一番近い薬局だから」「家の近くだから」「待ち時間が少ないから」「何でも相談できる担当の薬剤師さんがいるから」…。最後の理由で選んでくださったならとても嬉しい話ではありますが、実際には「かかりつけ薬剤師」「かかりつけ薬局」という言葉だけは知っているけど詳しくはわからないという方も多いようです。

そこで、今回のテーマは薬局を選ぶポイントになるかもしれない“変化しつつある薬局の姿”を紹介できればと思います。

01 健康ステーションとしての役割

セルフメディケーションという言葉を耳にしたことがある方は多くいらっしゃると思いますが、最近ではセルフメディケーション税制も導入され、市販薬で対応することがセルフメディケーションそのものと思っていらっしゃるかもしれません。本来、WHOは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な自分の不調は自分で手当てすること」と定義しています。この言葉の前半部分こそが大切ではないでしょうか。
現在私達は皆様の健康維持向上を目指して理学療法士目線で行うメディカルウォーキング、管理栄養士と自身の食事を振り返り自分の体年齢を若返らせる気づきの測定会、薬剤師による健康相談会など色々なイベントを開催しています。
「処方せんがないと立ち寄らない薬局」から「自身の健康を維持するために利用する薬局」へ。
皆様も薬局へ立ち寄った際はそういったイベント開催のチラシ等をぜひ見てみてください。


運動講座
▲運動講座

02 医療と介護をつなぐ“橋”としての役割

超高齢社会は今後日本が抱える最大の問題と言っても過言ではありません。働き手世代1.4人で高齢者1人を支えていかなければならない時代がすぐそこまで来ています。

認知症高齢者・独居高齢者の増加、介護・医療負担の増大など避けられない課題に対し、高齢者の健康寿命を少しでも何とか伸ばしていこう、地域力、仲間力を向上させ皆で支えあう仕組みを作っていこうという国の施策の中、薬局の役割も重要なものになっています。
皆様のご家庭にある飲み忘れなどの残薬は年間で500億円を超えるとも言われています。
これを少しでも軽減するために残薬調節を薬局でも行っています。
「医師に飲み忘れたなんて言えない」という患者様は多いですが、そういう薬を薬局に持参して頂く事で、国の医療費もご自身のお薬代も少し節約できます。

また薬によっては1日2回飲まなくてはと思っていた薬が実は作用時間が長く1回で済む薬に変更できる場合もあります。
そういう飲みそびれが多いお薬は是非薬剤師へご相談ください。
高齢者の場合は薬を飲んでもらうためにヘルパーさんを入れなくてはならないケースもありますが、1日1回の見守りで済むとなると介護負担も軽減できますよね。薬局薬剤師はお薬の管理で困っている方々の味方です。
薬の専門家として嚥下状態、認知機能、要介護状態、様々な角度から考え、医療職と介護職の間に立ち、ご家族、ご本人と話し合い“なるべくシンプルで管理しやすい薬物治療”を提案していきます。


お薬講座(上小町)
▲お薬講座(上小町)

03 スペシャリストのいる薬局

医師には○○専門医というのがありますが、実は薬剤師にもあります。外来がん治療認定薬剤師、緩和医療認定薬剤師、漢方・生薬認定薬剤師、スポーツファーマシスト、在宅療養支援認定薬剤師などあらゆる分野に特化した薬剤師がいる薬局も多いです。
薬局の外見でそういった専門分野に得意の薬剤師がいるかどうかはなかなかわかりづらいのですが、かかりつけ薬剤師を選ぶ際のひとつのポイントとして見ても良いかもしれません。中にはケアマネージャーの資格を持っている薬剤師もいますから、医師から「介護申請をしたほうがいいかもしれません」と突然言われ困ってしまった方も相談してみてください。


いかがでしたか?変化しつつある薬局の一部をご紹介して参りましたが、普段通院からお家に帰るまでに幾つかの薬局を目にすると思います。皆様のニーズに合う薬局を是非見つけてください。

(2017年Vol.55冬号)
審J2005099

田橋 美佳 薬樹薬局三ツ沢