
はじめに
DICはなぜ起こり、
何が起きているのか?
DICとは?
播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular
coagulation:DIC)は、感染症や悪性腫瘍、外傷などの基礎疾患/生体侵襲をきっかけに、血管内凝固の異常活性や過剰な炎症反応などが引き起こされ、臓器機能障害へと進展する重篤な病態です。
DICは、免疫・凝固・炎症・線溶など複数の生体反応が複雑に関わるため、苦手意識をもっている方もいるのではないでしょうか?DICの本質を理解するには、生体侵襲に対する生体反応を学ぶことが重要です。
このシリーズを通して
本シリーズではまず、血液凝固とその制御機構、線溶反応の基本を理解したうえで、近年注目を集めている免疫血栓(immunothrombosis)や血管内皮細胞グリコカリックスといった周辺概念にも触れながら、DICの全体像を丁寧に紐解いていきます。
加えて、敗血症や外傷、固形がん、産科領域など、基礎疾患ごとに異なるDICの病態的特徴にも焦点を当て、臨床に即した知識を身に着けられる構成としています。
「この患者さん、もしかしてDICかもしれない。」
そう思ったとき、生体内では何が起きているかを理解し、適切な判断と治療介入ができるように。
本シリーズが、みなさまの臨床における一助となれば幸いです。
DICの概略と本シリーズのCONTENTS
